せん妄

 

長く入院していると高齢者に起こる症状、それが「せん妄(せんもう)」である。

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しかし今年の1月〜2月にかけて約40日ほど入院していたときは、せん妄は起きなかった。

初めてせん妄が起きたのは3月に緊急入院してから6日後の夕方。病院に1人でいる意味がわからないと電話してきたのだ。

このときは10分ほど母が語りかけ、発熱で入院して6日だと理解したのだが…実はそれからもせん妄は起きていたのだ。

同じ病室の人が自分の話を聞いているとか、看護師さんが他の患者に話しかけているのを自分に言っていると思いこんだり、感染症で病室に隔離されてると言ったり、

実際のところ、父の言う感染症は父のお腹だけの症状なので、他の人には感染しないのだが、母が体調不良で発熱したときは、ものすごい思い込みで騒ぎまくり、内科を受診しろとか、看護師や医師に相談しろとか、四六時中電話をかけてきては騒いだ時期があった。あれこそがせん妄なのだが、お父さん心配症だね、で終わってしまったのだ。

しかし、看護師も医師も部屋に隔離はしておらず。そういった発言もしていないという。他人に移る感染症ならば、感染症病棟に移される、または個室に移動になったりするはずだ。

先週、病室を変わったがまだ隔離されていると言っているらしい。母が説得しても、看護師や医師が言っても理解できないのである。

先程、18時にまた父から電話があったそうだ。父が言う事にゃ、「新しい事務所ができて、そっちに移ることになった。」という。

母が病室を移るのか聞いたらば、「病室の話はしていない」

今は入院中だから、事務所に引っ越しもお父さんは関係ないでしょ、と母が言うと

「医師から説明があるから」

あぁ医師からなら、さっき電話があって話たばかりだよ。というと、

「自分は説明を受けていない」という。お腹の炎症が治まったら、来週にまたチューブ入れるって。と母が説明すると、また新しい事務所の話が始まってしまったという。

新しい事務所の話は、最近まで家の中の引っ越しをしていたからかもしれない。

介護認定されたら、1階の元書斎が寝室に。居間が書斎になるのだ。

だが、夢で見たことが現実だと思い込むのは、ちょっと怖い話である。要するに自分が作り上げた妄想の世界で生きているわけである。

感染症で隔離されているという主張も、自分がなかなか退院できない精神的苦痛の現れだと思うと心が痛いが、体調が悪く、ほとんど寝たきりで過ごし、体力がなくなっているのを思い過ごしだ。私はリハビリなど必要ないと言ったり、介護サービスも必要ないと言っちゃうあたり、母や私の苦労や疲労はまったく気にしてないんだなと思ってしまった。

父の場合、胆汁チューブを外に出したままの退院になる。訪問看護が必要になりますよと言ってくれたのは看護師や医師だったのだが、何でも自分で出来る!と頑固一徹

でも実はチューブがつまったり、外れたりするとお腹の中で感染症が起こり発熱してしまう。入院しているから色々な処置がすぐできるが、在宅となるとどうなるかはわからない。体調が悪くなったら訪問看護にお願いできるわけだが、父は介護サービスは受けたくないと一点張りだ。

だが今日のせん妄は、かなり尾を引いている。夜は睡眠薬を飲むので、真夜中に眠れないこともないし、暴れることもないが、早朝起き抜けに電話をされると、もう対応に困るのである。

今は抗生剤が効いて、発熱していないと言うが、絶食ゆえに時間がわからなくなり、さらにせん妄が増え続けるような気がしてならない。

実はさっきも母にまた電話がかかってきた。電話をかけたでしょ、と父が繰り返し言うがかけてはいない。着信履歴があったと言い張る。母が今日は朝にかけたけど、今はかけていないよといったが納得したかどうか。

明日、お見舞いに行ったら着信履歴を消してこよう。

医師は「長く入院していると、せん妄は起きることがあるんです。でも大丈夫ですよ?」と母に説明したらしいが、何が大丈夫なのだろうか。

せん妄が起きるたび、振り回されるのは家族なのだから。