長い長い夢の話…軽くホラー

 

夜に眠れないから、昼寝したら、長い長い怖いい夢を見た。

 

ハロウィン。閉店したスーパーでお化け屋敷を開催。遊んでくれた子供たちが「中にいたオジサンが1番怖かった」と口々に言っているが、お化け役にオジサンはいない。間違って入り込んだかな?午前の部、今いる子で終わりだから、中を見に行こうか。

出口に行くと、ちょうど出てきた子供たちとすれ違った。裏口から中に入る。お化け役のスタッフに昼休み休憩を伝えて回る。

 

あれ?あそこにいるの、フツーのオジサンじゃない?あれが噂の。やっぱり間違って入り込んだんだよ、と私と仲間でヒソヒソ話していると…

「やぁ、レディ達、ここはいったいどこなんだい?」

あぁ、やっぱり。ハロウィンパーティーのお化け屋敷です。どこから勝手に入り込んだんですか?

見た目はフツーの日本人のお爺さんだ。だが身長が180cmもありチェック柄のシャツを着ていて凄くオシャレだなぁと見とれていたら

「お化け屋敷?お化け屋敷といえば、こんな話を知っているかい」そう言って取り出したのはアルバム?B5版サイズのもので、モノクロの写真を見せられた。

 

「ここにはかつて大きい屋敷があったんだよ。」

写真には草がぼうぼうに生えたただの林が映っていた。

「女主人とその家族が農場を守っていたんだ」とオジサンはページをめくる。

家族写真。女主人を中心にして、息子、娘、娘婿、そして公認会計士エリオット、仲が良かった家族がある日突然、全員消えた。事件か事故か未だに謎だ。

オジサンの話に引き込まれていくと同時に場面が変わった。荒れた豪邸に私達はいた。まさにリアルなお化け屋敷だが、オジサンの姿は消えていた。

 

2人でお化け屋敷を歩き回る。ホログラムみたいな世界だ。屋内プール?か風呂か、やっぱり水辺は怖い。

水の中から何かが浮かんできた。顔の皮膚がない女性の遺体だ。英語かともかく日本語ではない、何かを叫んでいた。もう一体遺体が浮かんできた。こっちは完全に水死体の様相。怖い。

 

「あまり近くに寄るんじゃないよ?」優しく諭されて振り返るとオジサン。プールから離れると、顔がない女性の遺体は、水死体に噛みついたが…それが誰かわかって、さらに発狂したようになった。私達は耳を塞いだ。

次の瞬間、また場面が変わった。セピア色の世界。かつて誰かの部屋だった。ベッドサイドに引き出し付きの小箱。花柄模様。女性のものだろうか。

その小箱がカタカタ揺れだした。1番下の引き出しが勝手に開いた。そこに入っていたのは…女性の顔の皮だった。そばかす、その他に左目の下に500円玉くらいの大きな腫瘍があった。皮膚がんだろうか。

 

次の瞬間、場面が変わった。外だった。近くには納屋があり、たぶん農場だろうか。

 

外のはずなのにソファが置かれていた。ソファの前に焚き火。火が煌々と燃えている。ふと気がつくと、ソファに誰か座っていた。ホログラムみたいに輪郭が瞬いている。姿形は老婆だった。たぶん女主人。怖すぎて、その場で硬直した。

 

「やっぱり、ここにいたか」声がして振り向くと、オジサン。すると、オジサンは外国人の男性に姿を変えた。やはりあなたは…

「すまなかったね、日本人の姿の方がとっつきやすいと思ってね」とオジサンは語り出した。

 

私は長いこと出張で家を開けていた。〇〇(奥さま)はずっと家を切り盛りしていてくれててね、息子も娘も皆で協力しあっていたんだ。農場の様子がおかしいと聞き、帰国したときにはすでに誰もいなくなってたんだよ。自分も病気を抱えてて、失意のまま死んだけど、なかなか家族に会えなくってねぇ、助けてくれるヒトを探していたんだ。ありがとう。

〇〇(奥さん)はこの場所から農場を見るのが好きだったのさ。とオジサンは奥さまの肩にそっと手を置いたが、奥さまは気がついていないようだった。

奥さまを見守るように、もう一体のホログラムが現れた。息子さんだった。優しい微笑みをしている。

 

オジサン「エリオットに会わなかった、というのが答えかな。」

 

犯人は公認会計士のエリオットだったのか。エリオットは息子同様に可愛がっていて、屋敷に住んでいたと夢の中の映像で知っている。

遺産相続を目論むエリオットが娘と婿を誑かしたか。娘の顔の皮を剥いだのは誰か。娘は皮膚がんの影響で気が狂ってしまったのかもしれない。邪魔になったエリオットは…一緒にプールにいた水死体は娘婿なのか、もしかしたら、エリオット?

 

オジサンがまだあの世で家族に会えないのは、オジサンが病気で亡くなって、家族は殺されたからだろうか。魂はまだここにある。ということなのだろうか。

 

夢から覚める前、スーパーのお化け屋敷に戻ってきた私達の手元には、最初に見たモノクロ写真が、カラーバージョンになっていた。

「この林の奥にはかつて大農場と豪邸があった」とキャプションが添えられてあった。オジサンよ、永遠に安らかに。

 

写真の場所は早掛公園のあたりでした。確かにあの場所は何も無い土地が広がっています。

オジサン達は見た目は外国人でしたが、たぶんアイヌかなぁと思いました。下北半島アイヌが住んでいて、土地も財産も持ってて、あとから流入してきた和人と戦争になったりして、ついには下北半島から追い出されてしまうんだけれど、ヒドイですよね、和人。西から来た人ですよ。

アイヌ民族の生きた名残が、下北半島の地名に残っています。漢字で当て字同様改変されちゃったけど、ほとんどがアイヌ語なんですよね。

 

オジサンが奥さまとご家族と会えますように。